真夜中にひといき

真夜中にひといき

こどもが寝てからが本番

2023年2月に読んだ本たち

すっかりブログをサボっていました。お久しぶりです。
スプラトゥーン3のカタログ終了日をすっかり忘れていて、2月後半は毎日ノルマのようにナワバリをプレイしていました……
Nintendo Switchの充電待ちに読書する状態でしたが、2月もなんとか3冊読めました。

『フラッタ・リンツ・ライフ』 森博嗣

スカイ・クロラ』シリーズの4作目です。
今作は『スカイ・クロラ』で名前だけ登場していたクリタ・ジンロウの視点で物語が進みます。
クリタは司令官となったクサナギの部下のパイロットです。
そして今作の重要人物が、戦死した同僚の妹であり、クサナギの幼馴染の「サガラ・アオイ」です。
クサナギからサガラと会わないように言われたクリタですが、彼女と偶然再会したことから物語が動き出します。
キルドレの研究をしている彼女は、キルドレを普通の人間にする方法を知っていることから、逃亡の手助けをクリタに頼みます。
その時にクサナギがキルドレでなくなったことを知り、その後本人の口から、妊娠し出産したことでキルドレではなくなったと聞きました。

「子どもを産むことでキルドレではなくなる」という設定が、出産した者としてとても納得できる気がしました。
思春期を過ぎた子供のまま生き続けるキルドレ
それに対して、母親になることは強制的に大人になることだと感じることがあります。

スカイ・クロラ』シリーズのこれまでの作品で疑問に感じていたことが少しずつ分かってきて、一番読んでいて楽しく感じる作品でした。

剱岳 点の記』 新田次郎

映画があるのを知っていたのですが、原作があるものと知らず読んでみました。
明治末期、地図を作るための測量に剱岳へ挑んだ柴崎芳太郎の物語です。

あまり登山に興味がないので、剱岳も名前を聞いたことがあるようなないような……
読んでいる途中で検索してみて、想像以上の険しさに驚きました。
測量についても専門用語が多くて全く分からず、はじめはなかなかイメージが湧きづらかったです。
国土地理院のホームページで公開されている『一等三角点を散歩する』が分かりやすく解説されています。
測量のイメージが湧くと一気に物語に引き込まれていきました。

空海が草鞋千足を費やしても登れなかったと言われる剱岳
測量部の威厳のため、日本山岳会よりも先に登頂を成功させるように柴崎は命じられます。
また、地元の人々は剱岳山岳信仰の中で登ることが許されない山としており、登頂を目指す柴崎への反発があります。
厳しい自然だけでなく、人間関係とも戦いながら剱岳を登る様子は、ある種の修行のようにも感じられました。
その中ではじめはライバルだと思っていた日本山岳会との関係が、スポーツマンシップのような爽やかさで読んでいて気持ちよかったです。

螺鈿迷宮』 海堂尊

以前から読んでいる「田口・白鳥シリーズ」に登場する、桜宮病院を舞台にした作品。
東城大学の医学部生である天馬大吉が主人公です。

新聞社に勤める幼馴染の企みで、天馬はボランティアとして碧翠院桜宮病院に潜入し、行方不明の男を探すことになります。
姫宮によってボランティアから入院患者になってしまったことで、天馬は桜宮病院で立て続けに起こる患者の死について疑問を抱き始めます。

「田口・白鳥シリーズ」からは、お馴染みの「氷姫」姫宮と白鳥がメインで登場します。
エンバーミングで保存された桜宮葵の遺体や自殺幇助ビジネス、薬物などなど……リアリティはあまりないストーリーでした。
天馬が両親を失った事故と彼が探すことになる行方不明の男、そして自殺した桜宮葵が繋がっているという真相も、エンタメとしては面白かったのですが、桜宮の世間は狭いと少し笑ってしまいました。

読みかけの本たち

『輝天炎上』 海堂尊
『哲学とは』 田口寛次

前回読みかけていた『武器になる哲学』はビジネスマン向けだったので読み切らず。
ぼんやりと「哲学」というものに興味があったのですが、歴史や成り立ちが知りたいのだと考えが整理できました。